相続の相談は秋田市の司法書士おぎわら相続登記事務所秋田 司法書士荻原正樹
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秋田県秋田市の司法書士荻原正樹です。
秋田駅東口徒歩15分の事務所で、相続登記や相続放棄など相続関連業務を中心として業務を行っております。
皆様のお悩みの解決策を共に考え、ご相談いただいたあと安心してお帰りいただけるよう最善を尽くしております。
また、難しい法律用語なども丁寧に分かりやすく説明させていただく事を心がけております。
無料相談も行っています。秋田市以外の方からの相談、秋田市以外が管轄となる問題の相談も対応可能です。
時間が経過することによって解決が困難になってしまうこともございます。
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皆様のお越しを心よりお待ちしております。!(^^)!
主な取扱業務
「相続」相続・相続登記・相続放棄・預金貯金の名義変更等・株式の相続
「遺言」自筆証書遺言・公正証書遺言などの遺言書作成補助
「不動産登記」不動産の名義変更・生前贈与・財産分与・抵当権設定・抵当権抹消
「商業登記」会社設立登記・有限会社の登記・役員変更登記・会社廃業解散登記
「裁判所提出書類作成」成年後見申立・離婚調停申立・個人破産申立
「民事信託」信託登記・信託契約書作成
「表示登記」建物表題登記・建物表題変更登記・建物滅失登記・地目変更登記
*相続登記の費用の目安:約7万円~10万円
*相続登記手続きの流れ
被相続人がお亡くなりになられてから相続登記が完了するまでの手続きの流れは以下のとおりです
1:相続人の調査・確定
まずは、お亡くなりになられた方の相続人は誰なのかを確定する必用があります。
そのためには、役所から戸籍関係書類を取り寄せます。
この相続人調査・確定作業においては、結婚による戸籍編成や転籍などによって、他県の役所から郵送によって取寄せる必要がある場合もあります。
また、請求先の役所が火事にあって戸籍が残っていないなどの理由により、戸籍が取得できない場合もあります。
通常、調査開始から確定までは1ケ月~2ケ月程度ですが、相続人の数が多い、転籍の回数が多いなどの場合は半年以上要する場合もあります。
2:相続財産の調査・確定
次に、又は、相続人の調査と並行して、相続財産を確定させる必要があります。
相続登記に関するものとして、不動産の調査は、役所より固定資産税課税台帳の写しを取得します。
3:遺言の有無の調査
被相続人の方が遺言を残している場合には、原則としてその内容に従って手続きを進めることとなりますので、遺言の有無を調査します。
4:遺産分割協議
相続財産について、各相続人がどのように相続するのかについて、相続人全員で協議します。
協議がまとまらない場合、遺産分割調停などの手続きの利用を検討します。
5:登記申請に必要な書類の準備
遺産分協議がまとまった場合、相続登記申請に必要となる遺産分割協議書(証明書)・相続関係説明図・委任状などの書類を作成、署名押印が必要な書類には相続人の皆さんに署名押印をしていただきます。
6:相続登記申請
管轄法務局に添付書類とともに相続登記申請書を提出いたします。相続登記申請から完了までは、1週間から10日程度かかります。
7:相続登記完了
相続登記が完了すると、法務局から登記識別情報(むかしの証の権利証の代わりになるもの)が発行されます。
ご依頼人の方に、この登記識別情報と戸籍関係書類一式をお返しいたします。
*未来につなぐ相続登記(法務省のサイトから)
近時,相続した不動産について相続登記がされていないケースが数多く存在していることが,東日本大震災からの復興に関連して報道されるなど,相続登記が社会的な関心を集めていることを御存知でしょうか?
相続登記が放置されているため,所有者の把握が困難となり,まちづくりのための公共事業が進まないなどのいわゆる所有者不明土地問題が顕在化しており,また,相続登記の未了は,適切な管理がされていない空き家が増加している大きな要因の一つであるとの指摘もされています。
直ぐに相続登記した場合のメリット
不動産についての権利関係が明確になり,相続した不動産を売却しようとしたときに,すぐに売却の手続をすることができますし,担保に入れて住宅ローンを組むことができます。
相続登記をしないで放っておくデメリット
当事者に所在不明の方などがいる場合,すぐに登記を含めた相続の手続をすることができず,相続分を確定することが困難となります。さらに,相続が2回以上重なると,誰が相続人となるのか,その調査だけで相当の時間が掛かり,相続登記の手続費用や手数料も高額となってしまいます。相続の手続に時間が掛かると,相続した不動産を売りたいと思ったときに,すぐに売ることができなくなるなど,思わぬ不利益を受けることがあります。
*相続法が改正されました
配偶者の居住権を保護するための方策
1:配偶者居住権
(1)趣旨:遺産分割協議において配偶者が建物の所有権を取得するとする合意が成立した場合、その配偶者は預貯金や現金等の財産を多く相続することが出来なくなる恐れがあったこと、また、他の相続人が建物の所有権を取得することとした場合においても、配偶者として賃料等の支払いを求められるような場合があったことから、配偶者の生活の居住権を保護するために規定された。
(2)要件:配偶者居住権が認められるためには、次の要件を満たす必要がある。(1028)
①配偶者が相続開始時に当該居住建物に居住していたこと
②遺産分割協議において配偶者居住権を取得したこと、又は、配偶者居住権の遺贈を受けたこと
(3)審判による配偶者居住権の取得
家庭裁判所は、次の場合には、遺産分割の審判において、配偶者居住権を認めることが出来る。(1029)
あ)共同相続人間で配偶者居住権の合意があるとき
い)居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき
(4)配偶者居住権の効果
原則:終身・無償にて居住することができる
例外:遺産分割協議・遺言・審判において、期間について別段の定めがなされたときは、その期間に限る
(5)対抗要件
配偶者居住権を第三者に対抗するためには、「配偶者居住権の設定の登記」を申請する必要がある。
この登記は、居住建物所有者を登記義務者として、共同申請により行う。(1031)
(6)配偶者の義務
①配偶者は、居住建物の使用及び収益について、善管注意義務を負う。(1032)
②配偶者居住権は譲渡できない。
③配偶者は、居住建物についての通常の必要費を負担する。(1034)
(7)配偶者居住権の評価
配偶者居住権は、その財産的価値を評価して、これを相続したものとみなされる。
①建物の価額(固定資産税評価額=②配偶者居住権付所有権の価額ー③配偶者居住権の価額
②配偶者居住権付所有権の価額=①固定資産税評価額×{法定耐用年数ー(経過年数+存続年数)}÷(法定耐用年数ー経過年数)×ライプニッツ係数
③配偶者居住権の価額=①固定資産税評価額ー②配偶者居住権付所有権の価額
ただし、当事者間にこの数式を利用する合意が成立しないときには、不動産鑑定士による評価による
2:配偶者短期居住権
(1)趣旨 最判平成8年12月17日(民集50巻10号2778頁)の趣旨を参考として、配偶者が死亡した場合の生存配偶者の生活拠点を保障したもの。
上記判決においては、共同相続人の一人が被相続人の許諾を得て、遺産である建物に同居していた場合には、原則として、当該相続人との間で、相続の開始から遺産分割終了時までの期間、使用貸借関係が成立したものと推認されるとされた。
しかし、この考えによると、①被相続人がこのような配偶者短期居住権の内容とは異なる意思表示をしたとき、②被相続人が当該建物を配偶者以外の第三者に取得させるとしたときなどにおいて不都合が生じるおそれがあった。
そこで、法定の権利として配偶者短期居住権が制定された。
(2)要件(1037)
①相続開始の時に居住建物に無償で居住していたこと
②配偶者居住権を有しないこと(1039)
③欠格事由、廃除事由がないこと
(3)配偶者短期居住権の効果(1037)
無償で使用する権利を取得する
(4)存続期間(1037)
あ)共同相続人間において遺産分割をする場合
①遺産分割により居住建物の帰属が確定した日
②相続開始の時かた6ケ月を経過した日
のいずれか遅い日まで
い)あ)以外の場合
居住建物取得者が配偶者短期居住権の消滅申し入れをした日から6ケ月経過した日
(5)配偶者の義務
①配偶者は善管注意義務を負う(1038)
②配偶者短期居住権は譲渡できない(1041)
③配偶者は通常の必要費を負担する(1041)
(6)評価
配偶者短期居住権により取得した利益については、当該配偶者の具体的相続分に含めない
相続人以外の者の貢献を考慮するための制度
1:趣旨
現行民法においては、相続人以外の者が被相続人の療養看護に努めたような場合であっても、この者は遺産分割協議に参加できず、何らかの財産の分配を請求したりすることは困難であった。
しかし、現状においては、相続人の配偶者が、被相続人の療養看護に努める場合が多く、その者の貢献に配慮するための制度の必要性があると考えられた。
そこで、被相続人の親族について、特別の寄与を認め、相続人に対して特別寄与料の支払いを請求することを認めたものである。
2:要件
①被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者であること(特別寄与者)
②被相続人の親族であること
③相続人、相続放棄者、欠格事由該当者、廃除者ではないこと
3:効果
(1)相続開始後、相続人に対して、特別寄与料の支払請求ができる。(1050Ⅰ)
(2)当事者間で協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できる。
但し、①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ケ月を経過、又は、②相続開始時から1年を経過したときは、この限りではない。(1050Ⅱ)
遺産分割に関する見直し
1:配偶者のための方策(特別受益の持戻しの免除の意思表示の推定)
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、配偶者に対して居住用不動産を遺贈又は贈与した場合には、持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。(民法903Ⅳ)
これにより、遺贈又は贈与を受けた配偶者は、従前の場合に比べ、居住用財産を維持しながらより多くの相続財産を相続することが可能となりました。
(1)趣旨:夫婦のうち一方が死亡した場合において、生存配偶者の居住の保護を図りながら、それ以外の財産についても相続を認めることで生活保障を図るもの
(2)要件:①婚姻生活が20年以上であること
②目的物が居住用不動産(居住用建物又はその敷地)でること
③遺贈又は贈与されたものであること
(3)効果:特別受益の持戻し免除の意思表示があったものと推定する
2:預貯金債権の遺産分割における取扱い
①遺産分割の審判又は調停の申立人又はその相手方は、家庭裁判所に対し、遺産に属する特定の預貯金債権を仮に取得する申立てができます。(家事事件手続法200Ⅲ)
②遺産分割前においても、各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に相続分を乗じた額について、単独で、払戻しができます。(民法909の2)
(1)趣旨:平成28年12月19日最高裁決定(民集70巻8号2121頁)により、預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるとされました。
これにより、預貯金債権は、共同相続人全員による準共有の状態となり、遺産分割が完了するまでの間においては、共同相続人全員の同意がない限り、共同相続人の一部による個別の権利行使はできないこととなりました。
しかし、これにより、被相続人が生前に利用していた病院の医療費や施設費の支払いや、被相続人に扶養されていた者の生活費や葬儀費用までも、共同相続人全員の合意が成立するまでの間、遺産から支出することができないことになります。
そこで、このような支出に対応できるようにするため、共同相続人が単独で預貯金の払戻を受ける方法について定められました。
<遺産分割審判(調停)における仮払制度>
(2)要件:①遺産分割の審判又は調停の申立てがあること
②遺産に属する預貯金債権についてその払戻の必要があること
③仮払いの申立てがあること
④他の共同相続人の利益を害さないこと
(3)効果:遺産に属する特定の預貯金の全部又は一部を仮に取得できる
<遺産分割前の預貯金の払戻>
(2)範囲:相続開始時の預貯金額の3分の1に法定相続分を乗じた額
(3)効果:単独で払戻しできる
3:遺産の一部分割の明記と要件緩和
共同相続人は、協議によって、自由に遺産の一部分割ができることが条文上明記されました。(但し、被相続人が遺言で禁じた場合を除く。)(民法907)
共同相続人間において遺産の一部分割について協議が調わないとき、又は協議ができないときは、各共同相続人は、家庭裁判所に対して遺産の一部分割の請求がでることが条文上明記されました。(民法907)
審判の際の、遺産の一部分割が認められるための要件が条文上明記されました。(民法907)
(1)趣旨:平成28年決定により、預貯金債権も遺産分割の対象となるとされたことによって、被相続人の債務の弁済や被相続人に扶養されていた者の生活費や葬儀費用などの支弁の便宜をはかるため、一部分割を利用し やすいものとする必要性が生じた。
そこで、共同相続人間において一部分割をすることを明記するとともに、従来家庭裁判所の審判において用いられていた一部分割の要件を緩和することとした。
(2)審判の要件:①被相続人が遺言で禁じていないこと
②共同相続人間において、協議が調わないこと、又は、協議ができないこと
③遺産の一部分割をすることによって、他の共同相続人の利益を害するおそれがないこと
④家庭裁判所に対し共同相続人による申立てがあること
(3)効果:一部分割がなされる。ただし、他の共同相続人の利益を害するおそれがあるときは、申立の範囲の拡張(全部分割)が求められ、それにもかかわらず申立の範囲の拡張が行われないときには、申立は却下される。
4:遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
遺産分割前に、遺産に属する財産が処分された場合には、共同相続人は、その全員の同意によって、当該処分された財産が遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができるようになりました。
この場合、共同相続人によって処分がおこなわれたときには、その処分をした相続人の同意は不要となります。
(1)趣旨:遺産分割協議は、被相続人の相続発生時における遺産について行われます。
しかし、時として、相続発生後に、相続人の一部の者が、被相続人の口座が凍結される前に、駆け出し的に預貯金を引き出すなどの処分をする場合があります。
このような場合、他の共同相続人としては、処分をした相続人に対して、不法行為による損害賠償請求や不当利得返還請求によってその返還を求めることができます。
今回の改正法は、上記のような解決法に加え、他の共同相続人全員の同意により、処分された財産が遺産として存在するものとみなすことを可能にし、その財産も遺産分割協議の対象とすることで、簡易な解決を可能とするものです。
(2)要件:(民法906条の2)
<1項:第三者による処分>
①処分財産が相続開始時に被相続人の遺産に属していたこと
②共同相続人の全員が、処分財産を遺産分割の対象に含めることに同意していること
<2項:共同相続人による処分>
①処分財産が相続開始時に被相続人の遺産に属していたこと
②処分財産を処分したのが共同相続人の一人又は数人であること
③処分者以外の共同相続人全員が、処分財産を遺産分割の対象に含めることに同意していること
(3)効果:合意がえられた時点において、みなし遺産の効果が発生する。
(4)対象となる遺産の範囲:処分財産自体であり、当該処分により得られた財産(代償財産)は対象とならない。
(5)合意の撤回の可否:いったんなされた合意は撤回できない。
(6)合意と意思表示の瑕疵・欠缺に関する規定の適用の有無:適用になる。
遺言制度に関する見直し
1:自筆証書遺言の方式緩和
(1)趣旨:財産目録について自筆の要件を外すことで、自筆証書遺言の作成をしやすくした
(2)自筆証書遺言の作成方法
①遺言者は、全文・日付・氏名を自署し、これに押印をする
②財産目録を添付する場合においては、当該財産目録は自筆である必要はない。
例)ワープロで作成したもの、遺言者以外の者による代筆、不動産登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなど
③自筆によらない財産目録については、各頁ごとに署名・捺印を要する。
両面に及ぶ場合には、その両面に書面・捺印をすることが必要。
2:自筆証書遺言の保管制度
(1)趣旨:自筆証書遺言は、簡易に作成できる遺言ですが、遺言書の保管方法について決まりはないため、遺言書作成後に紛失して
しまったり、隠匿や変造をされるおそれもある。
そこで、これらを防止するために、自筆証書遺言の原本を法務局で保管する制度が定められた。
(2)方法:遺言者が、自ら法務局に出頭し、遺言書保管官に対して、遺言書の保管申請をすることにより行う。
(3)管轄:住所地・本籍地・所有不動産所在地を管轄する法務局
(4)遺言書保管の申請の撤回:遺言者は、いつでも、自ら出頭することにより、遺言書管理の申請を撤回できる。
(5)遺言者死亡後における遺言書情報証明書の交付請求:
遺言者が死亡したときは、相続人・受遺者・遺言執行者等は、遺言書保管官に対して、遺言書情報証明書の交付を請求できる。
(6)家庭裁判所における検認の要否:保管された遺言書については、家庭裁判所における検認を要しない。
3:遺贈義務者の引渡義務
(1)趣旨:遺贈における担保責任に関する規程を整理するものである。
(2)遺贈義務者の引渡義務:遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う。
4:遺言執行者の権限の明確化
(1)遺言執行者の一般的な権限
①遺言執行者の権限:遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
②遺言執行者が行った行為の効果:遺言執行者が、その権限内において、遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接その効力を生ずる。
→よって、必ずしも相続人の利益のために行動するものではない。
③任務開始の通知:遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言執行者に就任した旨、及び、遺言の内容を、相続人に通知しなければならない。
→遺言の内容については、遺言書の写しを添付する。
(2)特定財産承継遺言
①意義:遺産の分割の方法の指定として、遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言をいう。
②特定財産承継遺言と遺言執行者の権限:対抗要件を備えるために必要な行為をする。
特定の財産が預貯金の場合→遺言執行者は、預貯金の払戻しの請求及び契約解約の申し入れができる。
(ただし、解約申入れはその預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。)
(3)遺言執行者の復任権
①遺言執行者の復任権:遺言執行者は、復代理人を選任できる。
②遺言執行者の責任:遺言執行者は、復代理人の選任につき責任を負う。
ただし、復任につきやむを得ない事由があるときは、選任及び監督についての責任のみを負う。
遺留分制度に関する見直し
1:遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権への変更
現行法においては、遺留分を侵害された者は、遺留分の減殺請求権を行使することができ、この請求権は形成権であるから、遺留分減殺請求権の行使によって共有関係が発生することにっなる。
しかし、共有状態が生じると、当該財産の処分等について、共有者の利害を調整する必要が生じるため、新たな紛争の原因ともなりうる。
そこで、新法では、遺留分権利者は、遺留分の権利を行使することによって、受遺者等に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できると定めることにより、共有状態から生じる不都合を回避したものである。(1046Ⅰ)
2:遺留分の算定方法
(1)遺留分算定の基礎となる財産に含めるべき、相続人に対してなされた生前贈与
<第三者への贈与>
原則:贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限って、遺留分を算定するための財産の価額に参入される。(1044Ⅰ)
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をしたときには、1年よりも前になされたものも参入される。
<相続人への贈与>
原則:相続人に対する贈与については、相続開始前の10年間にしたものに限って、遺留分を算定するための財産の価額に参入される。(1044Ⅲ)
この場合の「価額」は、婚姻・養子縁組・生計の資本として受けた贈与の価額に限られる。
例外:当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をしたときには、10年よりも前になされたものも参入される。
(2)負担付贈与に関する規律
負担付贈与については、遺留分を算定するための財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。(1045Ⅰ)
(3)不相当な対価による有償行為の規律
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。(1045Ⅱ)
3:受遺者・受贈者による債務消滅請求
(1)趣旨:遺産のなかに債務がある場合、当該債務は相続人が承継する。
そこで、受遺者・受贈者がこの債務を支払った場合には、相続人である遺留分権利者に対して、求償権を有することになるが、このように各自が債権を請求するとすることは手間なので、受遺者・受贈者に、自己が弁済した限度において、遺留分侵害額請求権を消滅させることができる権利をみとめたものである。(1047Ⅲ)
(2)遺留分侵害額の支払い請求を受けた受遺者・受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度いて、遺留分権利者に対する意思表示によって遺留分侵害額債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。
相続の効力等に関する見直し
1:共同相続における権利の承継の対抗要件
(1)趣旨
現行法上、被相続人が遺言によって遺贈などを行った場合や、相続人間が遺産分割協議を行った場合において、当該行為によって利益を得た者と第三者との関係については、判例によって個々の場合について判断が示されてきたところであるものの、規定上には必ずしも明確ではなかった。
判例においては、遺贈による不動産の権利取得については、登記なくして第三者に対抗できないとする一方、相続させる旨の遺言がなされた場合、これを遺産分割方法の指定にあたるとして、権利取得を登記なくして第三者に対抗できるとしていた。
しかし、相続分の指定や遺産分割方法の指定がなされた場合に、登記なくしてその権利を第三者に対抗できるとすることは、遺言の内容を知りえない第三者の取引の安全を害するとの批判があった。
法定相続分を超える部分については、遺言という意思表示によって権利変動が生じるのであり、このような被相続人に処分性が認められるものについては、対抗要件主義を適用することにも合理性があると考えられる。
そこで、改正法においては、遺産分割や遺言による財産処分、相続債務と第三者との関係について、整理して規定することとした。
(2)内容
相続人が遺言や遺産分割によって権利を承継した場合、その相続人は、法定相続分を超える部分について、登記その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができない。
(3)第三者に対する関係においては、債権を取得した相続人は、確定日付ある証書によってこれを通知しなければ、第三者に対抗できない。
もっとも、債務者に対する関係においては、法定相続分を超えて債権を承継した相続人が、遺言の内容(遺産分割の内容)を明らかにして債務者にその承継を通知したときには、共同相続人の全員が債務者に通知したものとみなすこととして、便宜を図っている。(899の2Ⅱ)
2:相続分の指定がある場合の債権者の権利行使
(1)趣旨
債務者である被相続人の意思によって、債権者の権利行使が制限を受けることは債権者にとって不意打ちであり、合理性がない。
判例は、相続債務についての相続分の指定は、相続債務の債権者の関与なくされたものであるから、相続債権者に対しては効力が及ばないとしていた。
新法は、これを明文化したものである。
(2)内容
遺言により相続分の指定がされた場合においても、被相続人の債権者は、原則として、各共同相続人に対して、その法定相続分に従った権利行使をすることが出来る。
ただし、その債権者が共同相続人の一人に対して、その指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。
3:遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等
(1)趣旨
現行法上、遺言執行者がある場合、相続人がした遺言執行の妨げとなる処分行為は絶対無効と解されている。
他方、遺言執行者がいない場合には、判例において受遺者と第三者との間は対抗関係に立つと解されている。
このような結論の差異は、遺言の存否及び内容を知りえない第三者に不測の損害を与え、取引の安全を害するおそれがある。
そのため、新法では新たな規定を設けた。
(2)内容
遺言執行者がいる場合、相続財産の処分その他相続人がした遺言の執行を妨げるべき行為は無効であるが、これを善意の第三者に対抗できない。
また、遺言執行者がいる場合であっても、相続人の債権者、相続債権者は、相続財産について、その権利を行使することを妨げない。